日向夏氏による「薬屋のひとりごと」はライトノベルを原作とするテレビアニメ作品です。
後宮という華やかなるも閉ざされた世界で、薬師の知識を武器に数々の事件を解決していく猫猫(マオマオ)の活躍を描いています。
その物語の中で、一際異彩を放ち、読者の興味を惹きつけたのは、高官の娘でありながら謎多き存在として登場した楼蘭妃(ロウランひ)ではないでしょうか!?
彼女は登場時からどこか捉えどころがなく、その行動には常に裏があるように感じられたのは私だけではないはず!
今回は、そんな楼蘭妃の「正体」に焦点を当て、その複雑な背景を徹底的に解説し、彼女が物語に与えた影響について考察していきます。
薬屋のひとりごと楼蘭妃の正体は?
楼蘭妃は、皇帝の妃の一人でありながら、他の妃たちとは一線を画す異質な存在として、当初から描かれていました。
彼女の登場は、猫猫が後宮で起こる様々な事件の裏にある陰謀や人間関係の複雑さをより深く知るきっかけとなります。
楼蘭妃の正体は、実は、下女の姿で後宮を自由自在に動き回っていた「子翠(シスイ)」!

あの虫好きの!
彼女は下女に扮して、一体何をしていたのか?
この衝撃的な事実が判明した時、読者の多くは「まさか!」と声を上げたのではないでしょうか。
それまで猫猫の周りウロついていた下女の子翠の行動、そして楼蘭妃の奇妙な振る舞いの全てが、この「正体」を知った瞬間に全く異なる意味を持つからです。
子昌家という強大な権力と、その裏に隠された秘密。
この緻密に張り巡らされた伏線と、その回収の見事さには舌を巻くばかりですΣ( ̄□ ̄|||)
表面的な情報だけでは決して見抜けない、人間の複雑な思惑と、それが織りなす悲哀が凝縮された、まさに「薬屋のひとりごと」の真骨頂とも言える展開を見ていきましょう!
薬屋のひとりごと楼蘭妃の父親は?母親は?そして隠された異母姉の存在
楼蘭妃の複雑な生い立ちは、彼女の「正体」だけでなく、その行動原理を理解する上で不可欠です。
彼女の父親は、「子昌(シショウ)」という高官です。
子昌は作中でも有数の権力を持つ家柄であり、その娘が後宮に入ること自体は自然な流れでした。
さらに重要な事実として、楼蘭には一人っ子と言われながら、実は異母姉の「翠苓(スイレイ)」が存在します。
翠苓の生い立ちです。
かつて後宮で、「大宝(タイホウ)」という女官が、先帝の子を身籠りながらも認められず、産んだ赤子と、医官が追放されました。
子昌が赤子と医官を保護し、子北洲で匿い育てます。
その赤子は成長し、年ごろの娘に。
そこで、妊娠を認めなかった先帝が、罪悪感からか、子昌にその娘を娶らせます。

先帝、勝手だなー、おい。
子昌が匿い育てたんだから、
娘みたいなもんやろ。
子昌は許嫁(神美)がいたにも関わらず、先帝の頼みを断れずに娶り、生まれたのが翠苓でした。
翠苓という名前は後からつけられたもので、彼女の本当の名前は「子翠」。
楼蘭が下女として猫猫たちの前に現れた時の偽名と同じであり(だからややこしい!)、子の一族であることを示す「子」の字が入っています。
つまり、翠苓は先帝の孫であり、本来の身分が皇弟である壬氏も先帝の孫であることから、翠苓と壬氏は従兄妹の関係にあたります。
一方、楼蘭の生い立ちです。
母親は「神美(シェンメイ)」という子の一族の本家の生まれです。
神美は、数十年前、子の一族が禁止されていた「奴隷交易」で国外に奴隷を流出させていたことが女帝に露見し、その償いとして「人質」同然に後宮に上級妃として入内させられました。
しかし、先帝の好み(ロリコンΣ( ̄□ ̄|||))から外れていたため、お手付きもなく長年放置。
この間、神美の侍女だった大宝(翠苓の祖母)が先帝の子を身籠ったことで、神美は皇族への深い恨みを抱くようになります。

自分は放置なのに、なぜ侍女が!!
ってことね。
先述のように、神美は子昌の許嫁。
後宮に上級妃として入内させていたと言っても、子昌はちゃんと神美を愛していた為、家督を継いだ後、先帝の娘(翠苓の母)を娶ることを承諾する代わりに、神美を下賜させ、彼女を救い出そうとします。
子昌は神美を救うために、後宮の拡大事業を進め、秘密の抜け道まで作ったという悲劇。
しかし、長年の後宮暮らし(放置)や侍女の裏切り、そして子昌の「不貞」に見えた行動により、神美は狂気の沙汰に。。。( ノД`)シクシク…
神美は下賜後に、子昌との子:楼蘭を産み、人形として(ここポイント!)娘を可愛がり、翠苓と翠苓の母には冷遇。
その結果、翠苓の母は若くして死にます。
神美は狂気のまま、男娼遊びにふけり、夫である子昌すらも愚弄し、やりたい放題に。

子昌も罪悪感からか
何も言わないし。。
何か言えよ!!
こうして、子昌家の血縁関係は、後宮の闇、そして国家の機密案件。
楼蘭と翠苓が異母姉妹であり、その両親が抱える複雑な過去と、それが子世代にまで影響を及ぼしている構造には、深い哀愁を感じずにはいられませんね。
特に、神美の「狂気」が、後に楼蘭の行動に多大な影響を与えることになる点を考えると、まさに因果応報、あるいは悲劇の連鎖と言えるでしょう。
薬屋のひとりごと楼蘭妃の目的は?
楼蘭妃(本来の淑妃であり、下女の子翠)が後宮に潜入し、さらに下女の姿で振る舞っていた目的は、彼女自身の出自と、狂気に囚われた母親・神美の思惑、そして楼蘭自身の絶望が複雑に絡み合っています。
事実として、神美は狂気に取り憑かれ、子昌家の中で権力を掌握した末に、茘という国に対して反乱を起こすことを企てます。
そのために、娘である楼蘭を皇族を乗っ取るために上級妃として後宮へ送り込み、異母娘である翠苓を皇弟の暗殺者として潜入させていたのです。

神美が凄まじいよね。。
これが、「楼蘭妃」が後宮に入った最大の目的でした。
しかし、楼蘭自身の内面は、母親の思惑とは大きく異なっていました。
楼蘭は、神美の言う通りに人形のように振る舞いながらも、神美が常に怒り狂い、下女に折檻し、父親の子昌すら愚弄する姿を見て、母である神美は「どんどん醜くなっていく」と感じていました。
楼蘭にとって、狂気に陥った母親よりも、異母姉である翠苓の方が真の家族であり、彼女に会うために時折、下女に扮して密かに会いに行っていたのです。
皮肉なことに、下女の恰好をした楼蘭を、神美は自分の娘とは認識せず、他の下女と同じように扱いました。

自分の娘に気づかないなんて。。
本当に「人形」として愛していた
のかな(´;ω;`)ウゥゥ
こうした経験から、楼蘭は「子を孕めばその父を食らう」という歪んだ思想を抱くようになります。
虫の世界には子を繋ぐための本能的な行動がありますが、人間は意味もなく父親を食い潰す。
楼蘭にとって、母親という存在、そして後宮というシステムは、女が男を食い物にする場所に見え、彼女は「母親」という存在に絶望していました。

哀しいけど、そう思ってしまうのも
無理もない生い立ち、そして世界
だよね。。
そのため、彼女は後宮に入ったものの、妊娠はしたくないと考えていました。自身が母親になることを恐れて。。
そのために、後宮でも下女の恰好で動き回り(下女に模すのは慣れてました!w)、後宮の草花を集めては堕胎薬を作り飲んでいたのです。

堕胎薬を作るためによく
出歩いてたんだね。。ついでに
虫取りしてたのかなw
楼蘭が「子翠」として猫猫たちの前に現れたのは、このような深い絶望と、母親の企みから逃れようとする個人的な目的があったからなのです。
楼蘭の行動は、母親の狂気的な命令と、自身の内なる葛藤、そして後宮という特殊な環境が複雑に絡み合った結果でした。
彼女は母親の駒でありながら、同時に自らの意思で「母親にならない」という抵抗を続けていた、非常に哀しい存在だったと言えるでしょう。
楼蘭の行動の裏に、このような深い絶望と、母親への複雑な感情が隠されていたと知った時、彼女に対する印象は大きく変わりますよね。
薬屋のひとりごと楼蘭妃、その後は?
楼蘭妃(本来の淑妃であり、下女の子翠)の「正体」と、その背後にある子昌家の秘密、そして神美の恐ろしい企みが明らかになった後、彼女の運命は大きく転換します。
事実として、子の一族による反乱が実行に移され、その渦中で猫猫は「子翠」とともに後宮北の秘密通路(父:子昌が神美のために作った抜け道)を通って、異母姉・翠苓によって子北洲へと攫われます。
反乱の拠点である砦で、猫猫は「楼蘭」として振る舞う子翠の姿を目にし、その時ようやく子翠=楼蘭(淑妃)であるという真実に辿り着くのです。
反乱が鎮圧され、子昌家の企みが挫かれたことで、楼蘭(淑妃)は身代わりとしての、そして母親の道具としての役割を終えます。
彼女のその後の詳細な描写は少ないものの、恐らくは子昌家の庇護のもと、後宮という危険な場所から離れ、穏やかな生活を送っていると推察されます。
淑妃という重責からも、狂気に囚われた母親の束縛からも解放されたことは、彼女にとって何よりの救いだったのではないでしょうか。
楼蘭の物語は、後宮の権力争いがいかに個人の運命を弄び、家族の絆を歪めるかを示す象徴でした。
彼女が負わされた役割の重さ、そして母親の支配から逃れるために密かに堕胎薬を飲んでいたという事実は、読者に深い悲哀を与えます。
しかし、同時に、猫猫によってその正体が暴かれ、悲劇的な役割からの解放へと導かれたことは、彼女にとっての「救済」でもありました。
楼蘭は非常に人間くさくて、そして深いメッセージを内包していたと思います。
しかし、物語の主要人物が去るというのは、なんとも寂しさがありますよね。
やっぱり猫猫、小蘭、子翠の絡みがもう一度見たい!!
「子翠」は度を越えた虫好きで、「笑いながら虫を集めている変な女がいる」と下女の間で噂になるほどの研究者肌。
同じくオタクの、、いや研究者肌の猫猫と相性がよかった気がして、小蘭を含めた三人の良き関係は本物であったと信じたい!!
薬屋のひとりごと楼蘭妃について纏め
いかがでしたでしょうか。
楼蘭妃の物語は、後宮の光と影、そして個人の運命がいかに大きな流れに翻弄されるかを示す、象徴的なエピソードだったと言えるでしょう。
「薬屋のひとりごと」の登場人物って、一人一人、深みがありますよね。
第二期も見逃せない!!
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