『チェンソーマン』は、藤本タツキ氏による漫画で、週間少年ジャンプで第一部は2019年から2021年まで、第二部は2022年から連載しています。
衝撃的な展開と圧倒的なスピード感で、世界中に社会現象を巻き起こした『チェンソーマン』第1部(公安編)。
その興奮冷めやらぬ中、少年ジャンプ+で鳴り物入りで始まった第2部(学園編)ですが、ネット上では一時「あれ、チェンソーマン2部ってつまらない?」「前作とノリが変わった?」といった戸惑いの声が上がることがありました。
結論から言うと、第2部はつまらないどころか、藤本タツキ先生の天才的な計算(仕掛け)が張り巡らされた、極上の「青春サイコホラー」です。
この記事では、なぜ第2部が「つまらない」と噂されてしまったのか、その違和感の正体を紐解きながら、第1部との決定的な違いや、読者をゾクゾクさせるタツキ節全開の仕掛けについて徹底考察します!
なぜ『チェンソーマン』第2部は「つまらない」と噂されたのか?3つの違和感の正体
第2部が始まった当初、一部の読者が「求めていたものと違う」と感じてしまった背景には、主に3つの理由があります。
① 主人公がデンジではなく「三鷹アサ」視点で始まったギャップ
第1部は、欲望に忠実でぶっ飛んだ主人公・デンジのハチャメチャな魅力が物語を引っ張っていました。
しかし、第2部の幕開けはデンジではなく、繊細で不器用、どこか陰キャ気質な女子高生「三鷹アサ」の視点。
「早くデンジの暴れっぷりが見たい!」と期待していた読者にとって、この大胆な視点の切り替えは大きなギャップとなりました。
② 「ジェットコースター展開」から「じわじわ刺さるサイコホラー」へのジャンルシフト
第1部は、次々に強力な悪魔が現れ、主要キャラクターであっても容赦なく命を落としていく「予測不能な超高速バトルアクション」でした。
対する第2部は、学校という日常の狭いコミュニティの中で、じわじわと精神を削られるような「青春サイコホラー」の味付けが強くなっています。
この「物語のスピード(テンポ感)」の変化が、スピード感を求めていた層には物足りなく映ったのです。
③ Web連載(ジャンプ+)特有の「タメ」とリアルタイム連載のもどかしさ
第2部は週刊少年ジャンプ(紙版)から、Webアプリ「少年ジャンプ+」への移籍連載となりました。
藤本タツキ先生はWebの特性を活かし、あえてセリフを減らした無音のコマや、キャラクターの絶妙な表情の間(ま)を贅沢に使った表現を多用しています。
コミックスで一気読みすると映画的で最高に引き込まれる演出なのですが、1話ずつリアルタイムで追う連載時には「今週はあまり話が進まなかったな……」というもどかしさを生む原因にもなりました。
「チェンソーマン」徹底比較!第1部と第2部の「決定的な違い」
| 比較要素 | 第1部(公安編) | 第2部(学園編) |
| 主な舞台 | 公安対魔特異4課(社会・組織) | 第四東高等学校(学校・日常) |
| 物語の主軸 | 悪魔との生存をかけた超高速バトル | 歪な人間関係と精神的な駆け引き |
| 主人公の対比 | 欲望に直球で動く「デンジ」 | 自意識過剰でこじらせた「アサ」 |
| 恐怖の質 | 圧倒的な暴力・凄惨な死(マキマなど) | 日常が侵食される不気味さ(飢餓など) |
「チェンソーマン」の1部と2部は、主人公と物語のテーマにおいて顕著な違いがあります。
1部ではデンジが中心となり、デビルとの関係に翻弄されながらも、その力を使って敵に立ち向かうダイナミックな戦闘シーンが描かれています。
例えば、デンジがアパートでデビルに襲われるシーンでは、彼の生き残るための必死の戦いが緊迫感溢れる形で描かれてますよね!
彼の直感的で本能的な戦い方は、視聴者に強烈な印象を与え、物語に張りが出ます!
一方、2部では新しい主人公:三鷹アサが登場し、彼女の日常生活と内面的な葛藤が物語の中心となります。
2部では、ある日学校に突然現れたデビルと、彼女が対峙する場面があります。
このシーンでは、彼女が自分自身の中に潜むデビルハンターとしての力に気づき、その場を切り抜ける姿が描かれています。
彼女の戦いはデンジのそれとは異なり、より計算された動きと心理戦が特徴です。
第1部の直接的な対決とは異なり、より内省的で心理的なドラマが前面に押し出されています。
新しいキャラクターの導入や心理描写の深化は、第1部のアクション重視の展開から一歩踏み込んだ形となっていて、1部と2部の違いを最も大きく感じます。
「チェンソーマン」鬼才・藤本タツキが仕掛けた「天才的なミスディレクション」
では、なぜタツキ先生はあえて読者に違和感を抱かせるようなスタートを切ったのでしょうか?そこには、凡百の漫画家には真似できない「狂気的な計算」がありました。
1. 「アサ」というキャラクターを通して描く、僕たちのリアル
新主人公の三鷹アサは、正論ばかり言って周囲を見下しているようで、実は寂しくてたまらないという「自意識の怪物」です。
この生々しいこじらせ方は、現代を生きる私たちの心にじわじわと、かつ痛烈に刺さります。
第1部のデンジが「僕たちの憧れる圧倒的な劇薬」だったとすれば、第2部のアサは「僕たちの心の歪みを映し出す鏡」。
読者をアサの感情移入の沼に引きずり込むために、あの丁寧な(一見テンポが遅く見える)日常描写が必要不可欠だったのです。
2. デンジを「傍観者(記号)」にすることで跳ね上がった恐怖
第2部でもデンジは登場しますが、当初はアサの視点から「チェンソーマンの正体だとアピールしたい変な男の子」として描かれます。
第1部であれほど感情を共にしたデンジが、視点が変わるだけで「何を考えているか分からない不気味な存在」に見えてくる──。
この視点の魔術によって、物語のサスペンス要素が何倍にも跳ね上がりました。
3. 「戦争」「飢餓」……黙示録の四騎士が織りなす壮大な伏線回収
物語が進むにつれ、アサに宿る「戦争の悪魔(ヨル)」だけでなく、「飢餓の悪魔(キガちゃん)」、そして第1部を支配したマキマ(支配の悪魔)の妹分にあたる存在が続々と絡み合ってきます。
第1部で散りばめられた「黙示録の四騎士」の謎が、学園編という一見小さな舞台から、世界を揺るがす壮大なスケールへと一気に拡張していくカタルシスは、まさに鳥肌モノです。
「チェンソーマン」【まとめ】一気読みで化ける!第2部は今まさに「本領発揮」している
『チェンソーマン』第2部は、決して「つまらない」のではなく、「第1部の成功パターンを自ら破壊し、全く新しい恐怖と面白さを再構築した挑戦作」です。
最初はアサのネガティブさに戸惑った読者も、デンジとアサの歪すぎる関係性や、予想を裏切り続ける怒涛の展開が始まると、「やっぱりタツキ先生の手のひらの上で転がされていた!」と絶賛に変わっています。
ジャンプ+の閲覧数でも常にトップを独走し、今なお世界中のファンが毎週の更新に悲鳴を上げている本作。
もし序盤で「ノリが変わったな」と止まっている人がいたら、それはあまりにももったいない!今こそ、美しくも狂ったチェンソーマン』の世界へもう一度飛び込んでみませんか?
他にも「チェンソーマン」の記事を書いていますので、よかったら併せてご覧下さい。

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